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六本木ヒルズの集客


 今話題のショッピング・ゾーンと言えば六本木ヒルズですね。テレビなどマスコミでも大きく取り上げられており、知らない人はいないでしょう。ただ、私はまだ視察には行っていませんが。
 さて、6月21日の日経新聞9面に六本木ヒルズの記事がありました。見出しは次のようになっていました。詳しくは本文を読んでください。

    六本木ヒルズ開業2ヶ月弱で来場者数1000万人突破 飲食店が盛況

 この六本木ヒルズは、本当に凄いのだろうか? 新聞によると、当初の1000万人の見込みは3ヶ月であったこと、テナント数約200店舗で年商予定が400億円ということだった。ということは、当初予定では、年間来場者数は4000万人、売上高が400億円となる。あれ、400億円を4000万人で割ると1000円、客単価1000円が計画だった? 何かおかしい気がしませんか。また、現実は2ヶ月弱で1000万人を突破したのであれば、売上予定も現段階で計画比150%になるはず。けど、当初予算は上回っているような記述があるが、そんなに大きく超過しているような記事ではない。
 テレビで見る六本木ヒルズは、高級ブランド品やレストランなど客単価がかなり高い店舗のはずなのに、来場者の客単価は1000円なんて絶対あり得ないはず。まあ、同伴できたり、デートコースとして来場した人などが多かったとは思うが、それにしてもおかしいと感じたのは私だけだろうか。
 過去にも、つかしん、マイカル本牧、神戸OPA、最近ではマイカル小樽など、話題になったショッピングセンターは数多くある。そのどれもが、開業後、“予想を上回る集客、売上計画を大きく上回る”と今回同様にマスコミは取り上げた。でも、結果はどうだったであろう。マスコミは、提供された数値は本当なんだろうかと疑問を抱かないのだろうか。
 超大型商業施設の場合、マスコミ戦略は特に重要であり、このへんの広報活動は当初から織り込んでいる。その基本的な方法は、来場者数は水増し、売上予算は開業後2・3ヶ月は来場者が多いにもかかわらず必ず達成できるように低くする。専門家であれば、来場者数とSCの類型、テナント構成などで客単価および年商高は推測できる。どう考えても発表数字は疑問である。
 大型GMSで来場者が平日1万5千人、土日で3万人と六本木ヒルズの10分の1とすると、直営年商100億円+物販テナント50億円+飲食・アミューズメント・サービス20億円=約180億円になる。また、百貨店でも年間2000万人超であれば年商は1000億円を超えるはず。
 ようは、六本木ヒルズは複合施設でその中に商業施設やレストラン街があるということ。それで物見遊山にたくさんの人が来たということだろう。ただ、商業施設や飲食以外で金を使う機能はあるのだろうか。来たけれども、何も買わず、何も食べずに帰った人が多かったのだろうか。
 



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