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郊外型ドラッグストアの大量出店

 最近やたらと増えたのが郊外型のドラッグストアである。店舗面積が50〜150坪、品揃えは医薬品、化粧品以外にも日用雑貨から飲料・食品まで幅広いが品揃えが特徴で、ドラッグストア=薬局・薬品店ではない時代となっている。このようなドラッグストアの大量出店は既存の薬局にとっては非常に厳しい競合であり廃業・転業は増加の一途であろう。グロサリーを中心とした食品や日用雑貨も扱っており、零細の食料品店にとっても競合する。
 このタイプの店舗は大型店舗には該当せず出店は自由であるために短期間に店舗数が急増した。そのため競合するケースも発生し、
ファーマシー木のうたの天理前栽店のように閉店に追い込まれた店舗もある

 この業種でも県外資本の企業が多く、県内の企業としてはファーマシー木のうたが孤軍奮闘といった状況だが、店舗数などで差をつけられている。
 さて、県内で見かける代表的なドラッグ・チェーンは、ファーマシー木のうた、キリン堂、エムズドラッグ、ジップ・ホールディング(東洋薬局)などであるが、2003年9月時点での各チェーンの店舗数は以下の通りである。(エムズドラッグはホームページが無いので他の資料から参照したもの)

 ●ファーマシー木のうた 合計8店舗
  本店、JR奈良駅前店、郡山泉原店、西の京店、橿原坊城店、真美が丘店、上牧店、法隆寺店
  ※天理前栽店は閉店した

 ●キリン堂 合計20店舗
  あやめ池店、生駒店、大淀店、香芝逢坂店、橿原神宮店、橿原真菅店、河合町店、上牧店、北新庄店、
  御所店、桜井店、三和町店、高田神楽店、高取店、高畑店、奈良大森店、東押熊店、もちいどの店
  高田サティ内店、奈良ビブレ内店

 ●エムズドラッグ(増田薬品) 合計15店舗
  香芝店、天理店、桜井店、橿原醍醐店、紀寺店、橿原店、天理北店、奈良阪店、天理南店、大和高田店、
  片塩店、東九条店、学園大和店、法隆寺店、西大和店

 ●ジップ・ホールディング 13店舗
  大宇陀店、岡寺店、久米店、河合店、新庄店、田原本店、平群店、古市店、今国府店、真弓店、
  奈良学園前店、広陵店、桜井南店

     

ファーマシー木のうた

キリン堂

エムズドラッグ

ジップ・ホールディング

HANAKO

Welcia&グルメスーパー

大手チェーンの出店攻勢
 郊外型ドラッグストアは同規模の食品スーパーと比べて、低資本(設備・建物)で出店でき、オペレーションも薬剤師を含めて4〜6人程度であり人件費比率も低い業種である。それだけに大量出店することによるマス・パワーが成否のキーよなるだけに、キリン堂、エムズドラッグ、ジップ・ホールディング等の大手チェーンの出店はまだまだ続くだろう。
 また、違う立地タイプの企業、例えばマツモトキヨシ、コクミン薬局、大黒薬局等の奈良県内進出も考えられ、ドラッグの競合が激化の一途となろう。


郊外型ドラッグストアの出店の特徴
 いかに専門業種であろうとドラッグ単独で立地創造は難しく、集客力のある食品スーパーに隣接もしくは最寄に出店しているケースが多い。写真下右のWelcia & グルメスーパー(北門商店)のように、食品スーパーとドラッグのジョイントした店舗もある。他では、ドラッグストアは品揃えの差別化は難しく、単独出店の場合は最寄に同一競合が出店すると売上が急激に減少するだけに、イオン天理SCのようなスーパーストアなどへのテナント出店、NSC(近隣型ショッピングセンター)への出店なども増えるだろう。

既存の薬局の対ドラッグストア対策
 正直言って難しい。参考としては桜井市にあるHANAKO桜井店のようにボランタリーチェーン(JOVY)に加盟するとかであるが、ボランタリー型では運営、MD、販促などは大手チェーンに劣るだけに、大手チェーンが最寄にある場合は厳しい。小さい事業者の場合は公的援助・助成を受けられるような組合等の共同事業や事業統合する方が良いのではないだろうか。ただし、それでいても差別化できる独自のMDや取引先開発、物流など課題も多く成功の見込みは高くない。
   


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